日本原産の薬味の王様
サンショウは別名をハジカミとも言い、英名Japan pepperが示すように日本原産の薬味作物で、その効用から種々の利用法があります。需要に応えて、若葉を食べる木の芽施設栽培等により周年出回っていますが、季語からみた旬は山椒の芽は仲春、山椒の花は初夏、山椒の実は初秋です。サンショウ属は中国でも漢方や調理に使われ、漢名には円椒、漢椒、川椒、南椒、点椒等があります。椒の字義は小さい実のなる木で多産の象徴として妊娠や出産の呪物に、極めて高い芳香性に癖邪や駆魔の霊力を認めて巫の降神の呪物に、子孫繁栄の願いから皇后の別称にも用いられています。
効用としては、芳香性健胃、消炎、解熱、頭痛、咳、利尿、局所興奮、駆虫、五十肩に有効との記載があります。利用としては、木の芽(若葉)は汁の実、料理のツマ、香辛料に、葉サンショウは和え物、香辛料、サンショウ味噌に、花サンショウ(雄花の蕾)は料理のツマ、佃煮に、実サンショウで種子異変前の未熟果実は佃煮に、種子異変の未熟果実は漬物に、成熟果実はサンショウ粉、七味、漢方の材料等に広く利用されます。
(塚本洋太郎総監修(奥村英一・難波恒雄・水上静夫執筆):園芸植物大事典、内藤一夫:農業技術大系、武川満夫・政江:食卓さくもつ事典より)
〔一汁に摘み来て入るる山椒の芽 木戸山茶花〕
サンショウ(山椒)の種類と来歴
サンショウはミカン科サンショウ属の落葉低木で、雌雄異株です。原産は東アジア、日本と言われ、中国、朝鮮にも分布しています。わが国では北海道南部以南の山野にイヌサンショウと呼ばれるトゲのある(有刺種)が広く自生いています。しかし、トゲのない(無刺種)のアサクラサンショウ(兵庫県養父郡八鹿町朝倉原産とされるに因む)の青芽種の雌株が実採り用に、トゲのある在来種等の雄株が花サンショウ用や葉採り用に使われます。文献にサンショウが記載されたのは延喜式(928)が最初で、アサクラサンショウは雍州府志(1684)にその名が見られます。
なお、中国では、上記のわが国の食用種は野生しておらず、この種の漢名はありません。輸入されている中国品はイヌサンショウ(青花椒、青椒、泰椒、崖椒)および他種(紅花椒、花椒、蜀椒、川椒、大紅椒)であると言われています。
(塚本洋太郎総監修(難波恒雄執筆):園芸植物大事典、内藤一夫:農業技術大系より)
サンショウの辛味成分とその他の成分
サンショウにはジペンテンとシトネラールを主成分とするサンショウ油、サンショオールとサンショアミドを主成分とする辛味成分、ゲラニオールなどの芳香精油、その他が含まれます。生食するとこれらの成分が食欲を増進します。一度に多量に食べるものではありませんが、栄養素としては、ビタミンのA、B1、B2、C等が多く含まれます。
(内藤一夫:農業技術大系、武川満夫・政江:食卓さくもつ事典より)
サンショウの食卓の話題
木の芽としての若葉の利用は収穫直後のもので、小型の光沢の強い葉は香気が高いが、貯蔵には向きません。葉を料理に投入する場合には食べる前に入れることです。入れるのが早すぎると香気が失われます。また、掌の間でポンとたたくと組織細胞が衝撃を受け、一層香りがよく出ます。昔は、サンショウの実を毎日3粒食べていれば回虫がわかないとも言われていました。
(武川満夫・政江:食卓さくもつ事典より)
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