日本独特のツケナ
関西ではツケナ(水菜)と、関東ではキョウナ(京菜)と呼ばれ、海外には見られない菜類で、日本キャベツの意味の語が学名になっているほどです。わが国特有の品種発達をし、京都で成立した品種に「京菜」「千筋京菜」「水菜」等があり、「壬生菜」もこのグループに含まれます。出回りは2〜4月ですが、ミズナは耐寒性が強く、露地栽培で霜に当るといっそう美味しくなるので、旬は2月でしょう。
効用としては、冷え性、利尿、便通、浄血の効果があるとされています。利用法としては、油あげとの煮びたし、肉類との水炊きやすき焼きなどの鍋物、浅漬けが一般的です。
(清水茂監修(吉永秀夫執筆):野菜園芸大事典、武川満夫・政江:食卓さくもつ事典より)
〔下京や月夜月夜の水菜畑 庄司圭吾〕
ミズナ(キョウナ)群の来歴
ミズナ群は、ナタネ、コマツナ、タイサイ、ハクサイ等の他のツケナ類と共に総括分類される菜類の一群です。ツケナの来歴は明らかでありませんが、原産地はヨーロッパからアジアに至る多くの説があります。ツケナの栽培の歴史は、ヨーロッパでは紀元前数世紀の記載があり、中国でも2世紀以前の記載があります。わが国へのツケナの伝来や経路も明らかではありませんが、わが国の野菜の中で最も古いものであることは間違いなく、古事記(712)に「菘」の記載があり、和訓をアオナとしている。いずれにせよ、中国から直接、または朝鮮半島経由の伝来だと考えられます。
わが国でのミズナの起源は明らかでありませんが、わが国特有のツケナであり、ミズナの原始型と考えられる潮江菜やオソカブナが高知県下に残存しています。京都では古くから京野菜の類として改良され、各地に普及し、それぞれの地方で改良された色々な系統が定着したものと考えられます。葉の形態がやや異なる壬生菜は京都市壬生地方の原産ですが、これもミズナから作り出されたものとされています。
(清水茂監修(吉永秀夫執筆):野菜園芸大事典、青葉高:農業技術大系より)
ミズナの栄養価と美味しい食べ方
ミズナには種々の栄養素がまんべんに含まれますが、カルシウム、カリウム、鉄、カロテン、ビタミンK、食物繊維などが豊富で、中でもビタミンCは多く含まれます。なお、五訂新版食品成分表での栄養素含量はミズナではなく、キョウナの名前で記載されています。
ミズナは鯨肉との相性がよく、はりはり鍋がおすすめですが、鶏肉でもはりはり鍋の食感は味わえます。茹でてカツオ節やゴマをかけた浸し物、時にはサラダとして、また、ミジンに刻んで、カツオ節とともに、あつあつのご飯にまぶし醤油を少し落とした「菜めし」はミズナ特有の香りと食感が手軽に味わえます。さらに、漬物は、古漬けよりも、生醤油か酢醤油で食べる浅漬け向きです。
(自家採種ハンドブック出版委員会:自家採種ハンドブック、一橋出版:五訂新版食品成分表より)
ミズナの選び方
上手な選び方のポイントは、@株はできるだけ大きくボリューム感があり、切り口は小さいもの、A葉の色艶がよく、瑞々しく生命力を感じるものを選びます。B霜にあたってからが美味しくなるので、購入の時期にも気をつけます。C露地ものがお薦めです。
(関根雄二:おいしい野菜えらび12か月より) |