旬の食材図鑑

クレソン(ウォータークレス)
 

特有の香気と爽やかな辛味の三春の味
 クレソン(ウォータークレス)は、オランダカラシ、オランダミズガラシ、オランダミズタガラシ、ミズガラシの異名があり、野生化したものが川菜、川高菜とも呼ばれ、4〜5月に採れるので、季語は三春です。特徴である特有の香気と爽やかな辛味が好まれ、被覆栽培により年中出回りますが、最も旬を感じるのはこの時期の露地ものです。なお、野草でミズタガラシと呼ばれるタネツケバナの仲間の植物がありますが別のものです。また、クレスは葉に辛味のあるサラダ用カラシナ類の一般名です。
  クレソンの効用としては、貧血、くる病、心臓虚弱、視力の衰え、強壮、産婦の乳の出をよくし、便通、利尿、黄疸、こしけ、リュウマチ、神経痛にも有効との記載があります。利用としては、肉料理とともに食べますが、サラダ、お浸し、ごま和え、油炒め、天婦羅、漬物、味噌汁の具、鍋物、茶碗蒸し、その他青汁の材料などにもします。
(塚本洋太郎総監修(小田雅行執筆):園芸植物大事典、武川満夫・政江:食卓さくもつ事典より)

〔クレソンの水の澄みたる香かな  仙游〕



クレソン(水芥)の来歴
 クレソンはアブラナ科オランダカラシ属の多年草で、起源はヨーロッパ、ロシア、アジアとされ、これらの地には野生の状態で分布しています。生存力が強く、現在では世界各地に帰化植物として広く自生しています。ヨーロッパでは古くから野生のものが食べられていましたが、栽培されたのは比較的新しく、14世紀にフランスで、その後17世紀にドイツで始められたので、品種の分化も少ない作物です。
  わが国への渡来は、明治初年(1870頃)とされています。最初は洋食レストランなどの業務用で外国人住宅やレストラン周辺に作られていましたが、その後、帰化植物として各地に分布し、水の綺麗な川や沼地に自生していました。最近の食生活の変化にともなって、需要が増加し、転作田利用のトンネル栽培等により周年供給されています。また、サラダ用の品種も開発されてきました。
(山岸博:農業技術大系より)



クレソンの辛味成分と栄養成分
 クレソンが辛味を示すのは、ダイコンなどと同じように配糖体のグルコナスルチンが含まれていて、これが加水分解して、辛味成分のクエニルエチレン辛子油に変わるからです。生食するとこの成分が食欲を増進します。栄養素としては、ビタミンやミネラル類は他の野菜並みにまんべんに含まれますが、多いのはカロテン、鉄などで、中でも葉酸含量は150μgと上位グループに入ります。
(一橋出版:五訂新版食品成分表より)



クレソンの選び方と保存法
 @葉の緑が濃く、全体にみずみずしく、葉のきれいなもの、A茎の太さは中ぐらいがよく、太くても細くても味が落ちます。また、茎にひげ根が出ていないもの、B花が咲きはじめると茎がかたくなるので、花が咲いていないものを選びます。C春先のものには、葉にアントシアニンが含まれ、赤黒くにぶく光る葉が混じることがありますが、これは枯れではなく、寒さに遭遇したためで、クレソンらしい野性的なこくが感じられます。クレソンは貯蔵には向きませんので、少量の購入が基本ですが、きれいな水の入ったコップにさし冷蔵庫へ入れ、毎日水を替え、切り口を切り戻せば1週間程度は保てます。
(関根雄二:おいしい野菜えらび12か月より)



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